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maimoi日記 

自分の小さなこだわりに気づいて捨てるために書いています。心に静と柔らかさを得たい。 思い出したときに覗いてください。

烏の濡れ羽色

着物と染織のこと

 

 

午前中、ゆっくり時間があると思いながら寒空を布団越しに眺めてぬくぬくしていたら、TSUTAYAにDVDを返さないといけない事を思い出した。

10時までなので支度をして外に出たら、電線の上のカラスが鳴いた。

カラスは好きでもきらいでもない鳥だけど、近くでみるととても綺麗だと思う。

 

高校生三年生のときに、急カーブの進路変更をして、

国家資格をとるまで五年間和裁士の修行に打ち込んだ。和裁士とは着物の仕立てをする仕事。その後、東京の呉服屋に勤めて辞職するまで、トータル十年間程着物業界にいた。

 

高級紬の代表といえる 大島紬 は、テーチ木と泥染めによる独特の色で「烏(カラス)の濡れ羽色」と表現される。着物の宝石とも。

いまは化学染料で染めた手に入れやすい価格のものも多いけれど、

人間の手と日数をかけられた本物は、親子孫と受け継ぎながら大切に着ている方もいらっしゃる。

仕事で幾度となく手にしたことがあるけれど、洗い張り を繰り返して、指先をすべるような、しなやかな大島紬に巡り会えたのは数えるくらい。

戦前のものだというそれの、糸の軽さと強さに感動して涙がでたことがあった。

カラスの羽を手に取って見ると、吸い込まれそうな黒に驚かされるけれど、

人間の手仕事が、命を吹き込む色もあることも知った。

 

人生の分岐点にあった一冊

染めと織りと祈り

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