maimoi日記 

自分の小さなこだわりに気づいて捨てるために書いています。心に静と柔らかさを得たい。 思い出したときに覗いてください。

ご長寿

 
在宅型老人ホームで太極拳を教えてみませんかと、お話しをいただいたのが先々月。
 
それから月に二度、通っている。
80才〜くらいの方とお会いする機会がいままであまりなく、教えるという経験も初めてなので、毎回驚きの連続だ。
 
実際、クラスを始めると、
太極拳の長い套路はもちろん、「八段錦」という簡単な八つの動きさへも、難しいと分かった。
痴呆がすすんでいる方は気分にムラがあるし、麻痺や、身体のあちこちが痛くて動きたくない方も多い。
20分もすると、疲れたわと言う。
それでも、一生懸命やってくださる方もいて、
どこに中心を合わせれば良いか、どうしたらお一人お一人楽しんでもらえるか、模索している。
 
Tさんという入居者の方は、数分ごとに、
「わたし、どうしてここにいるのか分からないわ」とつぶやく。
私にはできませんと言いながら、一緒になんとなく身体を動かしてくださって、
歩行補助器を使いながら、一歩一歩ゆっくり、自分で歩いて部屋に戻っていく。
誕生日をお聞きしたら、大正生まれ!
 
先日、もう呼吸もしたくないわ と仰った。何もしたくない疲れたわと。
歌は好き?
じゃあ、鯉のぼりを聞きたいなとリクエストしたら、
信じられないほど美しい歌声で、驚いた。
泣きたくなるような、綺麗な低音。
喉に美しい楽器を隠しているみたいだった。
 
プロの歌手だったの? とお聞きしたら、
違うという。
昔、皆んなによく歌えと言われて、
歌うと、部屋の外まで人が溢れて聞き惚れていたのだそうだ。
 
 
昨日、
施設に伺うと、廊下を一歩一歩数えながら歩いているTさんをお見かけした。
わたし、どうしてここにいるのか分からないわ と仰る。
私のことも忘れていた。
歌の歌詞は忘れない。
 
「一緒に体操しましょ」とお声をかけたら、
体操が、洗濯と聞こえたみたいで、
せんたくなんて自分でしろーバカヤローと、怒りのスイッチを押してしまった。
私一人ではどうすることもできなくて、ヘルパーさんに助けていただいた。
 
 
月並みな言葉だが、
人に歴史ありで、些細なことが深く心に響く。
 
色々な方とお話しをして、
数十年後ももし生きていられたら、自分もこうやって老いていくのだなと思う。
 
身体は、最後まで自分から離れない。
心も、最後まで自分と共にある。どのように生きてきたか、生きているか、その連続。
そんなことをとても感じる。