受精から出産までの間、胎児はどのように成長するのか、
それは 遥か遥か遠い昔『 生物の誕生 』以来の生命の進化を、
追体験するのだと三木先生はいう。
解剖学者として知見、医学的な内容も含まれていて難しいところもあったけれど、
命を織り成したの詩集のよう。
養老孟司先生の言葉をお借りするなら、三木先生は〝 はらわた 〟の感覚で話される。
なのでこちらも、心の底から腑に落ちる。
はらわたに沁みないものは、〝 理に落ちて 〟しまうのだそう。
たまに、タクシー運転手になった夢を見る。
それは特別なタクシーで、気に入った小説の、登場人物なんかが乗ってくる。
この小説にでてくる太ったマスターは、私の夢のなかの常連。
小さなチェスの天才、少年だったアリョーヒンに、初めてチェスの手ほどきをしたマスターは、
胸もわき腹も下腹も太ももも、身動きさえ難しいほど柔らかい肉に埋もれていて、
太い指で、あらゆる種類の甘いお菓子を焼く。
甘い砂糖や蓄えた脂肪と同じだけの分量の、思慮深さと優しさを持っている。
マスターは前半で死んでしまうけど、
このマスターがなぜかとても好きで好きで。
小川洋子さんの、独特の文体もすごく好き。
習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法
( 作者 : ジョッシュ・ウェイツキン )
著者のジョッシュ・ウェイツキンは、
映画『 ボビー・フィッシャーを探して 』の、モデルとなった本物の天才チェスプレイヤー。
チェスの世界王者から、太極拳の推手世界選手権覇者、黒帯の柔術家になるまでの道のりと、技術を習得するための哲学、メンタルトレーニング法などが、
なんていうか、綿密に情熱的に書かれている。
太極拳を、37式の鄭萬青老師の弟子、William CC Chen に習っているので、
そこにすごく興味を持った。
勝負の世界が色濃く描かれていて、
頭脳戦から、実戦へ、
異なる分野にまたがる共通項というか、〝 基礎 〟は、
いかなるときも 心はつねに 〝 ここ 〟にあること、
自分の生来の本質をゆがめずに生かすこと、など、
宿るものは同じで、いま、学ぶ立場と教える立場と両方に足を置いているので、
ペシペシと膝を叩きたくなる内容がところどころにあった。
鄭萬青は五絶老人といわれ、詩、書、画、医、武に特に優れて、医者であり、宋美齢に絵を教えていたこともあった。
五つの絶技に達したのは、太極拳が中心にあったから、といわれている。
〝 自らの静を守って、相手の動を待つ 〟
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